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「体調はどう? 顔を洗って、身なりを整えたら、メイローズさんに診てもらった方がいい」
「メイローズ?」
聞きなれない人名に、アルベラが首を傾げる。シリルが泣き笑いのような顔をした。
「ああ、シウリンの――皇帝の側付きだった、今は陰陽宮の枢機卿をしてる、宦官なんだ。……俺の、お師匠さん。俺、今は宦官の修行中なんだぜ?」
「かんがん」
「いや、俺さ、できる仕事がほとんどなくって……その、宦官が一番近いらしいんだよね。もともと半陰陽だし」
「そう……なんだ」
「で、そのメイローズさんは〈王気〉もバッチリ見える人なんだけど、アルベラに〈王気〉があるって言ってたよ」
アルベラは自分の腕を見下ろす。たしかに、薄っすらとだが銀色の光が視える。シウリンのような、時々龍が焔のように湧きおこる、そんな強さはない。ただ薄っすら、銀色に光っている。
「……結界が、治ったせいだって、お兄様が」
「うん、メイローズさんもそう、言ってた。でも、アルベラに〈王気〉があることで、おかしなことを仕出かすのが出ないように、しばらくはここに隠そうってことになったから」
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