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入浴の準備ができたからとシリルの介添えで風呂に入り、丁寧に洗われる。洗髪の技術が劇的に向上していることに、アルベラは再び驚いた。
「俺はさ、皇帝陛下――シウリンのことだよ?――のお世話はさせてもらえるんだけど、アデライード姫お世話はやったことがなくて、長い髪を洗うのは久しぶりなんだ」
アデライードはわずかな侍女がついていて、宦官は直接の世話はしない。
「アルベラも、侍女の方が便利だよね。でも、信用のおける侍女がいなくて、しばらくは俺一人で我慢して」
シリルが着替えとして持ってきたのは、白絹のストンとした被り型のワンピースの上に、深緑色の毛織のガウンを重ねるタイプの長衣だ。胸の下で金銀糸の組紐を交差させるように締め、シリルが丁寧に飾り結びにした。足元はフェルトの室内履き。アルベラがいつも冬に使っていた愛用の品だ。
「シリルは、シルルッサからずっと、シウリンとアデライードの下で働いているの?」
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