書店の美少女

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 彼女たちが出て行くのと同時に、入って来た男子たちの会話が届いた。 「さっき出ていった子、ミサキリョウコだよな?」 「そうだよ。あんな綺麗な子、そうそういないだろ」  ミサキと言う苗字なのか。 「彼女、語学はフランス語で、専攻は英米文学だった・・かな?」 「おまえ、ミサキさんのこと、よく知っているなあ」 「一応これでも、ミサキリョウコのファンだからさ」  男たちは談笑しながら雑誌のコーナーに向かった。そこでもしゃべり続けていた。 「この大学に、ミスコンとかあったら、ミサキさんを推薦するんだけどなあ」  三人目の男がそう言った。すると、 「いやあ、ミサキさんより、ヨシワラさんの方が上だろ」 「俺は絶対にアマノさんだな」  色んな女性が話題に上ったが、ミサキリョウコの連れの「めぐみ」という女の子には誰も触れなかった。  彼女たちが外に出ると、僕は一人書店に残される形となった。  僕は、少女がさっき立っていた文庫本の書架の前に移動した。
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