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彼女たちが外に出ると、僕は一人書店に残される形となった。
僕は、少女がさっき立っていた文庫本の書架の前に移動した。
書棚の上から下まで、海外文学ばかりだった。
「ヘミングウェイ」「アンドレ・ジッド」「ディケンズ」「ヘッセ」「トルストイ」「ドストエフスキー」等の大小説家から、「ランボー」「ボードレール」「コクトー」等々の詩集もズラリと並んでいた。
その中には後に何度も読むことになる、フィッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」もあった。
そして、その奥の場所には、「アシモフ」や「クラーク」「ハインライン」「ブラッドベリ」などのSF作家の小説や「チャンドラー」「ハメット」等のハードボイルド小説が所狭しと並んでいた。
それまでの僕が読んだことのない本ばかりだったし、知らない小説家ばかりだった。
リョウコという美少女は、海外文学と、海外SFが好きなんだな・・そう勝手に思った。
もしかしたら、日本文学の前には僕がいたので、彼女が遠慮した可能性も否めないが、
いずれにせよ、
また知らない世界が増えた・・そう思った。
文芸部の部員なら、それらの本はみんな知っているだろう。知らないのは僕だけだ。
けれど、知らない世界を知りたくなるのが、僕の性分だった。
・・そして、彼女のことも知りたかった。
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