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大学生協の書店
◆大学生協の書店
大学一回生の春・・
僕は暇さえあれば、大学生協の書店に足を向けていた。
大型書店のように何でも揃う場所ではなかったが、そこには未だ僕の知らない世界があるように思えたからだ。
書店は、大学生協が運営しているので、講義用の専門書籍がほとんどだったが、小説の単行本や文庫本も多く置かれていた。中には雑誌や絵本まであり、無いのは漫画本や漫画雑誌くらいだった。
中に入ると、いつも向かうのは文庫本のコーナーだった。
僕は所狭しと並べられた文庫本の背表紙を眺めるのが好きだった。
なぜ、文庫本なのか?
理由は簡単だ。単行本を買うようなお金が無かったからだ。いくらバイトをしていて高校時代よりは余裕があると言っても、やはり単行本は高価な物に見えた。
それに比べて昼ごはんを少し節約して、余ったお金で買える文庫本の存在が嬉しかった。
経費と言う点では図書館を利用するのが最も経済的なのは分かってはいたが、どうも手垢に塗れた本のページを捲るのが好きではなかった。
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