文芸部室の雑談

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 そんな感じで部室で雑談をしているのは男ばかりだ。  部室は、長机が二台、縦に置かれただけの長細く狭い部屋だ。ウナギの寝床のようなものだ。二十人も入れば満杯の状態になる。だが実際には満杯になることはない。四回生は来ないし、幽霊部員もいるから、読書会に参加するのは、常時10人程度だ。  部室は読書会に使われるだけではない。講義が休講になった時や、空いた時間には部室に来て駄弁るのは通例になっている。  文芸部と聞くと女性が多いイメージがあるが、実際はそうでもない。  男女比率は圧倒的に男子が高い。大学の構成も男女比が8対2位だから、自ずから部員もそうなる。  その中で紅三点、三回生と二回生、一回生に一人ずつ女性がいる。  三回生の佐伯先輩、二回生の吉原先輩、そして一回生の九条さん。 「あらぁ、またいつものメンバーで駄弁っているのね。みんな揃って休講なの?」  雑談しているところへ姿を見せたのは、数少ない女性部員の佐伯先輩だ。三回生だ。  佐伯先輩は女性にしては長身で、頼れる先輩という感じだ。  男ばかりでむさ苦しい部屋に女性が現れるだけで、一気に部屋の空気が変わる。
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