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「佐伯先輩も休講なんですか?」と小山が言った。
「そ~なのよ。それで暇になって、友だちとお茶をしに行こうと思ったんだけどね。その子が自分の部室に行くっていうから・・」
佐伯さんは、着飾らない、面倒見のいい先輩だ。あまり難しいことも言わないし、読んでいる本もどちらかというと分かりやすい小説が多い。この前の読書会に選んだ本も曽野綾子の「二十一歳の父」だった。
佐伯さんは、鞄を置くなり、僕や小山、中垣と伊藤の顔を見渡して、
「ねえ、ラウンジに降りて、みんなでお話をしない? 缶コーヒーで悪いけど、奢るわよ」
「わっ、佐伯先輩の奢りだ!」伊藤が声を上げ、
「じゃ、遠慮なく」と小山が腰を上げた。
「缶コーヒーか・・」と中垣が少し不満そうに言った。
なんだかんだ言いながら、僕ら五人は、佐伯先輩を先頭にして部室を出た。
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