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学生会館ラウンジ
◆学生会館ラウンジ
文芸部の部室は、学生会館の二階に位置する。
そして、真下の一階には、自販機が並べられたラウンジがある。ラウンジと言っても、わざわざ喫茶店に行って金を使うことをしない連中が時間を潰す場所だ。
いくつかの椅子が丸テーブルを囲み、窓際には安っぽい応接セットのようなものが並べられているだけだ。
ラウンジには僕らの他に似たような集団があった。何も語らずだらっと座っているだけの学生たち。何やら小難しい議論をしている人たち。カップルもちらほらといる。
佐伯先輩の奢りの缶コーヒーをそれぞれ手にして、丸テーブルで佐伯さんを囲むように座ると、他愛もない雑談が始まった。
そして、しばらくすると、
「ええっ、みんな、彼女がいないのぉ? びっくり」
そんな佐伯先輩の素っ頓狂な声がラウンジに響き渡った事の流れはこうだった。
まず佐伯先輩が、
「ところで、私、みんなに訊きたいことがあったのよ」と切り出した。
「何ですか?」伊藤が言った。
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