学生会館ラウンジ

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 小山は女子の信頼があるのだろうか?   小山は見かけは服装も含めて野暮ったく見えるが、僕の知らない小山の良い所があるのかもしれない。もしくは女の子慣れしている男はそういうものなのか。  普段から漱石ばかり読んでいる小山の見方が少し変わった。  僕がコクリと頷くのを見た小山が、 「丁度、良かったよ」とニコリを微笑み、 「北原くんに、ミサキさんを紹介するよ」と言った。  頷いただけなのに、話が勝手に進んでいく。  それに「ミサキ」という苗字・・生協の書店で会った美少女と同じ苗字だ。  他の男子が、彼女のことを「ミサキリョウコ」と言っていた。 「そのミサキさんて、どんな人なの?」  僕が訊ねると小山は、彼女の説明を始めた。  まず、名前は「三崎涼子」と言う。  小山の話を聞く限り、その女性は書店で見かけた女の子にほぼ間違いはなかった。  だがどうも腑に落ちない。  僕の抱いている彼女のイメージと異なるからだ。  彼女は、「男子を紹介して欲しい」と自ら言ってくる女の子にはどうしても見えなかったからだ。
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