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「ベルギー印象派」って何?
小山とは次の休憩時間に打ち合わせをすることになった。
それまでドキドキが続いていた。
そんなに男子に人気がある三崎涼子という女の子と、こんなにも早く知り合いになれるとは思わなかったからだ。それに、そんな彼女が交際している男子がいないことも不自然に感じられた。
小山が言う事の経緯はこういうことだった。
「実は、三崎さんに、絵画展に誘われたんだよ」小山はそう切り出した。
誘われたと言っても、三崎さんは、絵画展のチケットを二人分持っていて、同性の友人を誘ってみたが全員断られた。それで、小山のところまで誘ってきたということだった。
つまり、誰も、絵画には興味を示さなかったということだ。どうせなら映画とかであれば話に乗ってくる友人もいたと思うが、よりによって絵画展だ。
と思ってみたものの、それほど男子に人気があるのなら、誰か無理してでも、絵画展につき合いそうなものだと思ったが、
小山が言うには、男子で誘われたのは、唯一、小山だけだったということだ。
小山は、「僕は男としてみられていないのかもしれないね」と苦笑した。
小山について分かったことが一つある。
彼は非常に真面目な男だ。漱石の「三四郎」を愛読しているからかどうか、それは分からないが、女子の信頼は厚いようだ。少なくとも三崎涼子は小山を信頼していると思う。
それに小山の言う通り、彼女は小山を男として見ていないのかもしれない。
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