星に呼ばれた夜

いっそのこと。

気がつけば、大学生活も残すところあと1年しかなかった。

周囲の学友たちは皆、就職活動や卒論に奔走している。
かく言う自分は何一つとして手をつけていない。

大学に入ったのも何となく、周りが進学しているから。
やりたいことも無く、将来の選択肢を増やすためという建前の元で入学したものの、このザマだ。

辺りを見渡せば
在学中に将来の夢ややりたい事を見つけた人
元から家業を継ぐ予定の為、焦らない人
開き直って浪人する人
マルチ商法や自己啓発過激派の沼に片足を突っ込んだ人など様々いる。

焦りはあるものの、やりたくない仕事にはつきたくないという究極の甘ったれ我儘思想を持つ自分にはきっとこの一年は地獄なのだろう。
特別秀でたスキルも、コミュニケーション能力もない。
その事実がより一層就職への焦りを加速させていた。

ただ一つだけの趣味を除いては
いかなるものに対しても興味が薄い、ただの凡人に過ぎないのだ。

「オレの人生、クソつまんな」

テラスの屋外喫煙所で、吸っていたタバコの煙と一緒につまらない独り言を吐き出した。