3人が本棚に入れています
本棚に追加
駅前通りから少し逸れた人通りの少ない路地に、その店はあった。
と言っても、元々この道は帰りのルート的に通る場所。
ここを通る度に気にはなっていたのだ。
両サイドをひび割れたコンクリ外壁の建物に挟まれる形で、例の店はポツリと佇んでいる。
建物自体は派手なわけではないが、俗にいう”ビンテージ感”漂う小洒落た雰囲気だ。
しかしそれとは別に、不思議と目を引くというか、なぜか異様に気になって仕方のない感情が以前からあった。
周囲は古めかしいい雑居ビルなどが立ち並ぶ何とも渋い場所。
いつもは、どうせ開いていないだろうと諦め半分で店の前を通っていた。
かれこれ3年間ここを行き来しているが、一度も開いているところを見たことが無かったからか、余計に気になってしまっていたのかもしれない。
店の目の前までくると、思わず息を呑み込んだ。
いつもは通りに面した窓にカーテンが閉じられ、明かりなど一切灯っておらず、かすかな物音すらもしない建物から
灯りが漏れていたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!