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青年は近くに置いてあったガラス製のような地球儀を覗き込み、こう続けた。
青年「キミは...イギリス人のお父さんと日本人のお母さんの間に生まれたんだね。異国の者同士の子かぁ、素敵だね」
玲「何でそんなこと.......」
相手の名前はおろか、自己紹介すらしていない人物に家族のことを突然言われ、若干の恐怖を覚えた。
青年「嗚呼そうだ、自己紹介がまだだったね。僕はこの天文台の館長、ノヴィルーニオ」
玲「天...文、台????」
ますます訳がわからなかった。
ここは地方都市で街の中心部に近い。
それなのに、外見と内装のスケールが合わなかったり、天井は突き抜けていて昼間なのに夜空が見えるし、ノヴィルーニオと名乗る男はここが天文台だと言っている。
でも何故か、どうしてなのか、この状況を己の思考は拒否をしていなかった。
それどころか、じわじわと興味すらも湧いてきているところだ。
玲「...あなたは一体、何者なんですか?」
青年「僕たちは星の民で、宇宙の女王に忠誠する者。ポラリスの近衛だよ」
ノヴィルーニオは見たことのない銘柄の煙草を取り出し、火をつけた。
ちりちりと燃えるそれは、まるで星の瞬きのようにも見える。
彼が吐き出した煙は体に悪そうなあの臭いではなく、神秘的な甘い香りだった。
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