8782人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ
もう堪らなくなって、近づいてきた東の麦茶を持っていない方の手をくいっと引き寄せて抱き締める。
「….…っはぁぁぁ、ほんと可愛すぎて堪んない……」
東、俺のこと殺す気?そう言ってぎゅうっと抱き締める手に力が入る。
ずっと腕の中に閉じ込めておきたい。
でも、「ぶ、部長、麦茶が…」とか言うから、ん、と少しだけ離れて麦茶のコップを取り上げソファーテーブルに置く。
それにしても部長、ね……。
「……東、ここは会社じゃない。しかも今日は休みだ。俺を役職で呼ぶな」
東の目をじっと見つめて訴えてみる。
「……でも、部長は部長ですし……」
「名前で呼んで」
「ぶ、部長……」
なかなかしぶといな。
「名前で呼ばないと、今日はもう返事しない」
ちょっと拗ねたように言ってみる。
「……ひ、広岡さん……」
「そっちじゃない」
「……そ、蒼介、さん……」
ぞくっとした。瞳を潤ませて顔を真っ赤にしてそう呼ばれれば、もう理性が飛びそうになる。
東の頬に手を伸ばす。触れたくて、東が欲しくて堪らない。
その唇にキスしようとした瞬間、ピンポーン、とインターホンが鳴った。
東が慌てて俺から離れ玄関に向かう。
……危なかった……。このままキスしていたら間違いなく止まれなかった自信がある。
最初のコメントを投稿しよう!