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「……全く気づかなかったよ。すごいなー東は。でも確かにこれなら全然大丈夫だ」
ハハッと苦笑いする部長。
部長ににんじんを食べさせる作戦、大成功だ。
「東は本当に創太くんのお母さんみたいだな。苦手なものもちゃんと考えて食べられるようにしてあげたり、家にも、子供用の踏み台とか椅子とかおもちゃまであって、完全に創太くん仕様だし」
創太、こぼしてるよ、とテーブルに落ちたハンバーグのかけらをティッシュで取りながら、
「そうなんですよね、友達が遊びに来ると子供いるの⁉︎ってすごく驚かれます」
と私もハハッと苦笑い。
そう、家に初めて来た友達は漏れなく面白いくらいにみんなびっくりする。
テーブルには子供用のテーブルチェアーがあり、リビングには子供用のおもちゃが収納されていて、床には一部だがジョインマットが敷いてある。
どうみても完全に子供のいる家だ。
そりゃそうだろうね、と笑いながら部長はにんじん入りハンバーグもサラダも味噌汁も美味しい美味しいと食べてくれている。
部長は箸の持ち方も、食べる仕草もとても綺麗だ。つい見惚れてしまう。
ビールを流し込む喉仏まで、なんだか芸術的とさえ思う。
こんなに食べてもらえると、見ていて気持ちがいいし作った甲斐があるというものだ。
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