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パソコンから顔を上げて、部長の漆黒の瞳が私を捉える。
「ああ、東か。おはよう、早いな」
にこ、と微笑む部長。
週末に何度も脳内再生されていた部長の笑顔だ。
「部長こそ早いですね」
と言うと、
「朝イチで会議があってその準備でな」
そう言って資料をチラリと見せてくれる。
「お手伝いします」
「大丈夫、もうほぼ終わった。あ、じゃあこれを10部ホチキスで留めてもらえるか?」
「はい!」
進藤の席に座りながらでいいよ、と部長の席から向かって左側のデスクを指す。
お言葉に甘えて進藤のデスクに腰掛け、部長から手渡されたホチキスで資料を留めていく。
「部長、金曜日はありがとうございました。創太もすごく楽しかったみたいで、また部長さんと遊びたいって姉に言ってるみたいです」
そう、創太は部長のことがよっぽど気に入ったのか、あれから姉に「ぶちょーさんぶちょーさん」と事あるごとに連呼しているらしい。
「いや、こちらこそハンバーグ美味かったよ。ありがとう。また創太くん預かる時は良かったら教えて」
カチ、カチ、とホチキスの音が静かなオフィスに響く。
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