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奈美が来るまで待とうと思ったが、お腹が小さくぐぅ、となったので先に食べることにする。
うちの会社は社食がおいしいと評判で、昼時になると多くの社員で賑わう。
外回りに出ている営業の社員は外食だし、他の部署はわからないが、少なくとも営業部、総務部のオフィスの中で昼食を取る人はそんなにいない。
今も午前中の仕事を終えた社員たちが、席を立って思い思いの食事場所に向かおうとしていた。
にんじんとごぼうのきんぴらを摘んで口に運ぶ。
うん、我ながらいい味付け。
すると、「あれ、東だけ?」と書類を持った進藤が営業部の方からひょっこり顔を出した。
「うん、みんなお昼休憩で出払っちゃったよ。奈美も今コンビニ行ってる。何か用だった?」
「うん、午後イチでこの発注頼もうと思って」
進藤から書類を受け取りざっと目を通して、自分の今抱えている仕事を頭に浮かべる。
朝からやっていた見積書も完成の目処が立っているし、他に急ぎの仕事もない。
「これなら私やっとくよ」
とそのまま書類を預かる。
「ほんと?助かる!サンキュー!」
進藤がくしゃっと笑う。
何か犬みたいだなーと思う。例えるならゴールデンレトリバー。
こりゃ、女子からモテるわけだ。
でもどういうわけだか進藤には特定の彼女がいない。
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