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「やめてやめて、そんなことあり得ないから!だってあの広岡部長だよ?社内の全女子社員憧れの的の!そんな人がこんな普通の私を、とかあり得ない」 「……芽衣子、あんた言っとくけど普通じゃないからね?割と可愛いんだからね?」 割と可愛いって、それ褒められてる……? 「顔だけじゃなくて、仕事の時は出来るオーラすごいのに仕事離れるとちょっと抜けてる所とか、そのギャップめちゃくちゃ可愛いんだからね?」 仕事の時、出来るオーラ出てる? それは意識してなかったから気づかなかった……。 それにね、と急に真面目な顔をして奈美は続ける。 「営業部の本条さんて知ってる?」 本条さん……。 本条明日香さん。今時珍しい黒髪ストレートのロングヘアを程よくルーズにまとめ、キリッとした目元の特徴的な私たちより2年先輩。営業部の紅一点だ。 「うん、知ってるけど……」 「彼女も広岡部長のこと狙ってて何度も食事に誘ったりしてるらしいんだけど、1度もOKしてもらったことないらしいのよ。でも芽衣子は1回誘っただけで部長と食事出来て、しかも2回目の約束までしてる。それってかなりすごいことじゃない?」 だからもうちょっと自分に自信持ちなって! ねぎまをパクっと食べ、グイッと残りのビールを飲み干して励ましてくれる目の前の親友に、なぜ励まされているのかわからないながらも気持ちは伝わって、「……ありがと」と呟いた。
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