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そのエントランスに辿り着き、部長が傘を畳む。
「東、大丈夫?」
「っはい、大丈夫です!」
いけない、ちょっと気後れしてしまった。
「雨の中悪かったな。中に入ったらもう1度ちゃんと拭こうな」
そう言って部長がオートロックを解除してエントランスを進んでいく。
ちょうど1階で止まっていたエレベーターに乗り込み、部長が10階のボタンを押す。
ボタンを見る限り、このマンションは12階建てのようだ。
部長、すごい所に住んでるな……。
同じ会社に勤めているけど、一社員と営業部部長だとやっぱり給料格差があるんだな……。
エレベーターを降りた後、部長は1001号室の前で止まり鍵を開け、どうぞ、とレディーファーストしてくれる。
「お邪魔します……」
予想通り広い玄関にやはり気後れしながら入ると、部長がタオル持ってくるからちょっと待ってて、と先に上がって玄関から向かって右のドアに消えていった。
「これで拭いて。服も濡れてるから、着替えた方がいい。俺ので悪いけどよかったらこれに着替えて」
しばらくして部長はブラウンのふわふわのタオルを持ってきてくれ、
タオルと一緒に着替えを渡してくれた。
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