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「あ、ありがとうございます!でも今日の服、乾燥機にかけられない服なのでハンガーお借りして干させて頂いてもいいですか?」 「ああ、わかった、今持ってくる」 パタパタと部長の足音が遠ざかり、しばらくしてまたパタパタと近づいてきた。 「東、開けて平気か?」 はい、と返事をしてからひと呼吸置いた後ガチャリとドアが開き、私を目の当たりにした部長がハッとした顔をして、その次の瞬間にはかぁぁっと音が聞こえてきそうなほど顔を赤くして思いっきり目を逸らした。 「わっ悪いっ!まだ着替え途中だったか……⁉︎」 部長があんまり慌てふためくものだから、えっ?えっ?と私は焦る。そして自分の格好を思い出して、 「部長、ち、違うんです!お借りしたスウェットが大きすぎて脱げそうになるので、ロンTをワンピースみたいに1枚で着てるだけなんです、大丈夫です、着替え途中なわけじゃないです!」 と慌てて言うと、 「そ、そうか……。東、細いもんな、ちょっと大き過ぎたな……」 ボソボソ呟き、これ、ハンガー、と私に手渡す。 そして、そのまま浴室に掛けて浴室乾燥ボタン押しておけばその内乾くと思うから、と言い残して去っていった。 ……部長、あんなに慌てることあるんだ……。 仕事で予想外のトラブルがあった時だって、あんなに慌てている部長は見たことがない。
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