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明日は土曜日で会社も休みだし、特に予定もない。 「特に予定はないけど……」   それを聞く進藤の意図は分からないが正直にそう答えると、 「今度俺との時間取ってくれるって言ったじゃん?明日俺とデートしない?」 進藤が突拍子もないことを言う。 「……え?デート⁉︎明日?進藤と?」 突然のことにびっくりして思わず声が大きくなってしまった。 今度時間を取るとは言ったが、それはいつもみたいに仕事終わりに飲みにいくとかそういうことだと思っていた。 休みに出かけるというニュアンスを含んだつもりはなかった。 「いや、デートって……」 どう答えようか迷っていると、すっ、と電話が私の手から抜けて行った。 と同時に体がふわっと何かに包み込まれる。 ーー部長にスマホを取られ、後ろから片腕で抱きしめられていた。 「……進藤か?悪いが東は明日俺とデートだ。残念だったな」 「……え、その声、広岡部長……⁉︎は?え⁉︎何で!」 驚いた進藤の声が電話越しに漏れ聞こえてきた。 驚いたのは私も同じ。 「……え⁉︎え⁉︎部長、俺とデートって、え⁉︎そんな話して……!」 ませんよね、というセリフは続けられなかった。 なぜなら抱きしめられている方の手でそっと口を塞がれたから。 「そう言うわけだ、諦めろ」 そう言って部長は電話を切ってしまった。
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