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またこくんと頷く創太。 「どうして走って行っちゃったの?」 広岡部長がそう問うと、 「ワンちゃんがお散歩しててね、なでなでしたかったの」 とぼそぼそと呟く。 「そっか、ワンちゃんか。でも今度からはなでなでしたい時もちゃんとメイちゃんと手を繋いで、離しちゃダメだよ」 そう言って広岡部長は創太をよいしょと持ち上げて肩車をした。 「わぁー!たかーい!すごーい!」 創太はさっきまで泣いていたのが嘘のように、部長の肩の上ではしゃいでいる。 ……広岡部長にメイちゃんと呼ばれた。 まさか呼ばれるとは思っていなかった、普段なら絶対ありえない呼ばれ方に不覚にもドキっとしてしまった。 「東は今帰り?」 あ、そっか、創太に合わせてメイちゃんって呼んでくれたんだ。 さっきも創太の目線に合わせて話をしてくれていたし、子供の扱いに慣れてるのかな、と感じさせる。 一瞬でもドキっとしてしまった自分を戒めつつ、 「あ、はい、姉から創太のお迎え頼まれて、姉の仕事が終わるまで家で預かることになってるんです」 と答えた。   「そっか。家はこの辺り?」 「ここから10分くらい行ったところのマンションです」 「じゃあご近所だな。俺も家この辺りなんだ。よかったらこのまま創太くん肩車して送って行くよ」
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