凛子ママ

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「お風呂の用意してきて、案内するわ」 「私が先でも良いの?」 家主より先なんて申し訳ないと思ったのに 「変な気は使わなくて良いのよ?」 凛さんは優しく微笑むだけ 「あ、ごめ。ありがとう?」 「フフ、そう。その調子よ」 「莉子のバッグは寝室に置いたままだから、ほら」 目の前に差し出された手に掴まって また手を繋いでリビングを出た 「てか、広くない?」 リビングルームも 私の記憶から言えばBARより広かったし 寝室だって、長い廊下も あの店の二階とは思えないほど 「あ〜、店は全体の三分の一かな 残りの三分の二はガレージなの」 「そういうことかぁ」 全く全貌の見えない此処を 頭の中で広げながら 寝室でお泊まりセットを取ると 凛さんはバスルームに案内してくれた 「バスタオルとハンドタオルは此処 何をどう使っても良いからね」 歯ブラシを出した私を「偉い」と褒めて脱衣所を出て行った 「ハァ」 洗面台についた大きな鏡に映る私は 洸哉が好きだと言った長い黒髪とホラー顔で テレビの中から出てくるホラー映画のあの子のようだった 二つある籠のひとつを使わせてもらうことにして パジャマと洸哉の為に用意した下着を入れる ツキンと痛む胸を誤魔化すように頭を振って バスルームへと入った 「ワァ」 期待も裏切らない広いバスルームは 雑誌か映画でしか見たことのない 猫足バスタブにゴールドの水栓やシャワー 真っ白なタイルの壁は ピカピカで光っている 一瞬でテンションが上がった私は お姫様になった気分でお風呂タイムを過ごした
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