壊れた関係と気持ち

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「・・・なに、これ」 携帯電話ショップに行ったあとで 凛さんと戻った自宅マンションは 泥棒が入ったかのように荒らされていた 玄関先で動けなくなった私と 携帯電話を取り出して操作し始めた凛さん 「一先ず、警察ね 家の中へは入らないで」 一瞬、洸哉だったらと躊躇った私に 「そうだとしても犯罪よ」 凛さんは真剣な顔で諭す ガタガタと震える私の肩を抱いていてくれることで何とか意識を保っていたけれど 駆けつけた警察官に鍵が閉まっていたことを告げると 「この部屋の合鍵は誰かに渡していますか?」 恐れていた方向へと話は進み 目の前が真っ暗になった 「家の中を確認します」と中に入った警察官は戻って来ると 「ベランダ側の窓も施錠されていました」 そう告げた後で 「何か紛失物がないか確認お願いします」 部屋の中へ入るように促した 「莉子、平気?」 「・・・・・・ん」 入りたくないけれど現実を受け止めなければいけない フラつく身体を凛さんに支えられながら 1LDKをゆっくり見て回る 印鑑は偶々バッグに入れているし 通帳レスのネットバンク 現金も置いていない部屋に 少しのアクセサリーとハンドバッグ程度のものは高価とは言えない それらがあることを確認すると 「クローゼットもお願いします」 寝室へと誘導される 開いたままの扉の中は ベッドのシーツが剥がされて散乱しているのが見える 「・・・っ」 一間半分のクローゼットは 扉が開いていた 「莉子は見ない方が良いわ」 凛さんが前に回り込んだことで クローゼットの中を見ることは無かったけれど 「・・・色黒が」 穏やかだった凛さんを怒らせてばかりいる洸哉は 三時間、此処で私を待ちながら 何をしていたのだろう 「被害届を出す場合には・・・」 寝室の入り口から動かない私に警察官から声がかかった
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