認めた気持ち

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「莉子、起きて」 「・・・ん」 「ほら」 「ん」 「モォーーーーっっ もうお昼なのよっ!!これ以上寝ると 目が腐るんだからねーーーーっ!」 「・・・はい」 凛さんの声だ、なんて 喜んでいたら・・・キレられた 重い目蓋を開けた先に 「・・・っ」 既に着替えも済ませた凛さんが見えた 「朝というか、お昼ご飯食べる?」 「うんっ」 「じゃ、顔洗って」 「は〜い」 「フフ、現金な子」 凛さんはいつの間に起きたんだろう 二度寝したお陰で頭はスッキリしているし 気持ちを認めたからか 前向きな気分にもなっている 「よーっし」 弾むような足取りで顔を洗うと、支度を済ませてリビングの扉を開いた 「・・・」 視界に飛び込んできたのは 「「おはよう」」 笑顔で挨拶してくる見知らぬ男性で 受け入れ難い景色に言葉を失った 「どうしたの?莉子」 テーブルとカウンターを忙しなく動いていた凛さんが近付いてきた 「・・・ううん」 小さく頭を振るだけで精一杯 顔を覗き込んだ凛さんが 「熱はないわね」 少し冷たい手をオデコに当てても 膝から崩れ落ちそうな気分は浮上できそうもない 「彼ね、投資のパートナーなの」 テーブルに腰掛ける超絶イケメンを振り返った 「パートナー」 「うん、そうよ」 凛さんの答えは普段通りなのに 弾んで聞こえるのはどこから見てもお似合いの二人の所為だろう “誰かを家に入れたことはない”って いつかの凛さんの声が頭を巡る “誰か”は知らない“誰か”のことで パートナーのことじゃなかったみたい 私は知らない“誰か”よりは 数多く会ったことがあるだけの“お客” 行き着いた答えは紛れもない事実だった
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