諦める準備

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ーーーーー日曜日 早起きして家事を済ませると 凛さんに実家へ行くと嘘をついて出かけた 大通り沿いに東へ向かう 徐々に見えてくるのはOffice Kの入るレガーメ その向かい側に中央駅があるんだけど 実家へ行くなら迷わずそっち でも、今日は・・・ レガーメの中へと足を向けた 四階までの大きな吹き抜けが迎えてくれる一階は 向かって左手に国内外のお洒落な雑貨を扱うカリーナ そして、右手奥には私の目的地である不動産ショップのNEXTOPがある 大勢の人で埋め尽くされた噴水広場を抜けると 無人の賃貸検索コーナーの空いている席に座った タッチパネル形式で物件検索をかける 単身用→中心駅近→オートロック→築浅 1LDK→バストイレ別→家具家電付き もっと突き詰めたい箇所はあるけれど 物件がないかもしれない 消極的な思いに早々と検索開始をタップすれば 引っ越したばかりのNEXTOPの自社物件であるEYマンションを先頭に数多くの物件がヒットした 「なになに」 地図上に物件を出して レガーメまで徒歩圏内の物件に絞り込む 食い気味で間取り図と設備を見比べている私に 「お手伝いしましょうか」 首から名札を下げた女性が声をかけてきた 「・・・お願いします」 断るのも変だし、もしかしたら 此処には出てない新着物件を紹介して貰えるかもと頭を下げた 「では、ご案内しますので カウンター席にどうぞ」 綺麗にネイルが施された手に誘導されて立ち上がると カウンター席へと移動した 「私、山下と申します。 よろしければお名前伺っても良いですか?」 同性ながら息を飲むような綺麗な顔に 瞬きすら忘れてしまう 「あの・・・」 「あ、ごめんなさい。えっと 中井と言います」 「フフ、中井さん。では ご希望の物件に巡り会えるように お手伝いさせて頂きますね」 「はいっ」
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