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歌戰の始まり
時は2025年、時代は多種多様のジャンルの存在を認めるに至り、特に芸術の分野でも新しきものが求められつつあった、日本に於いてその一つが即興詩と呼ばれるもので、基本は五字七字という伝統的な短歌や俳句の旋律を踏襲しつつもその長さは自由であり場合によっては破形と呼ばれる崩された詠みも良しとする(これを嫌う先生も居るが)。
この新種目を考え出したのは私立鳳雛芸術大学で教鞭を取る俳人の小納戸塁(40)と詩人の阿賀作理彩(30)であった。
名前を詩歌と名付けられた新競技を2027年からトーナメント方式で作ったのは高校生にも詩や俳句に興味を持ってもらおうという目論見もあったのだった。
詩歌のトーナメントルールは不自然すぎる無言の時間があったり、あまりにも下品な言葉を使った場合は減点される可能性のあるもののそれ以外は自由さが認められていた。
ただし、それでも禁止されているのが誰かを貶める様な表現、特に対戦相手に対しての侮辱発言は乱破行為と呼ばれ一発退場、あるいは日本詩歌連盟からの除名すらあり得る。
そんな中徐々に浸透していった詩歌トーナメント戦は歌戦と略されるようになり多くの観客を集めるようになる。
今回は第四回詩歌トーナメント戦での一幕をお伝えする。
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