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「お父さん、お母さん!」
慌てた様子の私を見て、二人は目を丸くした。
「どうしたんだい、陽菜」
「あのね、私、本当は将来の夢があるの。ネイリストになりたい!」
「えっ…?」
二人は呆然としたが、資料とネイルチップを差し出すと、ようやく私の言葉の意味を理解したようだった。
お母さんが優しい顔で尋ねる。
「ああ、陽菜はネイルの仕事がしたいってことなのね」
「うん。ずっと夢見てたの。私の作ったネイルで、皆をキラキラの笑顔にしたいって」
「そうなのね。これ、陽菜が作ったの?すごいじゃない」
「本当に?」
「ええ」
お父さんは専門学校の資料を見て、難しい顔をしている。
「そうだったのか…。てっきり陽菜は、大学に行きたいのだとばかり思っていたよ」
「今まで黙っていて、ごめんなさい。でも、これが私のやりたいことなの」
二人は顔を見合わせた。
やがて、お母さんが私を見て口を開く。
「陽菜、お母さんはいいと思うわよ。人生一度きりなんだから、自分の行きたい道に進んだ方がいいわ。ねっ、お父さん」
「そうだな…。学校の成績がよいとはいえ、自分の希望しない進路では納得できないだろうからな。お父さんとお母さんは陽菜を応援するよ。だから、後悔しないようにしなさい」
私の夢が、受け入れてもらえた…!
喜びで胸をいっぱいにしながら、私は声を詰まらせて頭を下げた。
「ありがとう。お父さん、お母さん」
涙を流す私の肩を、お母さんがポンポンと叩く。
「頑張りなさいよ、陽菜」
「うん!」
するとリビングに、ココがひっそりとやって来た。
「あっ、ココ!ココのおかげで、私、夢への一歩を踏み出せたのよ!」
「ミャーオ」
「えっ?」
「ミャー」
不思議なことに、もうココは人間の言葉を話さなかった。
「ココ、どうして…。ううん、ちょっとだけでもお話できて、嬉しかったな。ありがとう、ココ」
「ミャーン」
背中を撫でてあげると、ココは気持ちよさそうに目を細めた。
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