永遠の親友

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 不運、というものがあるのなら、きっとあの時の親友がおかれた状況のことを言うのだと思う。  親友は、ただ親の帰省について行っただけだった。  忙しかった彼女の両親が休めた日、それが、よりにもよって3.11当日だったのだという。  もしあの時、早朝に地震が起きていたら。それとも、ほんの1日だけでもズレていたら、決して親友は巻き込まれなかったであろう状況。  私の住む場所は東海地方。震度3か何かを観測したはず。だから、最初の方は、ただの地震だろうとしか思わなかった。  あの時の親友は、現地で想像を絶するような揺れを体験していたというのに。  テレビを帰ってから見て、初めて親友がいる場所の惨状を知った。  家まで流す黒い波。親友の祖父母の家は、確か海沿いだと言っていた。つまり、この画面の中で押し流されている家の可能性もある。  嘘だ、瞬時にそう思った。  きっと逃げているはず。きっとまた帰ってきてくれる。色んな約束を一緒に果たせるはず。  その願いが打ち砕かれるのが、10年も経った時だとも知らず、私はただひたすらに親友を待ち続けていた。  もう一度顔を見て、おかえりって言う。  ただそれだけのために、10年間、ただ待ち続けて、いや……待ち続けることしか、出来なかった。
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