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転機が訪れたのは、10年も経とうとする、2021年辺り。
彼女の、遺品が見つかった。
ボロボロのリュックサックと、私があげたキーホルダー。どう見つかったかは定かで無い。ただ、奇跡的な偶然が重なったとだけ聞いている。
でも、人が必ず「背負って身体に密着させる」という用途を持つリュックサックがボロボロになっていた時点で、ようやく察することが出来た。
二度と、親友は帰ってこないのだ、と。
それを悟った時、初めて泣けた。親に隠れてだったけど、初めて涙が流れた。
どんなに怖かっただろう。どんなに絶望しただろう。小学校3年生で、死を間近に見た気持ちは、どれほどだっただろう。
遺品すら見つからない人がいる中で、こうして帰って来たものがあったのは本当に救いで。
遺族から貰えたのは、キーホルダー。そのキーホルダーに、だったけど、ようやく言う事が出来た。
『おかえり……ずっと待ってたよ。』
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