僕のミーをシロと呼ばないで

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 シ、ロ、サ、マ!  不愉快極まりない名前だ!  僕はどうもこのシロと言う名前に、異常に反応してしまう傾向があるらしい。 「来たか? シロ様」  僕の隣を通り過ぎた黄色いビニールパーカーを着た男が話す。隣にいるお揃いのパーカーを来た小柄な女性が首を振る。  どうもスタッフの人らしい二人組みが何かを探している様子だ。 「シロ様、今日は来るのが遅い。寄り道でもしてるのかしら?」 「そうだな、シロ様だからな」 「もう、1時間も待ってるのよ。撮影が押しちゃう。それにユリエさんもピリピリしだしてるし、早く来てくれないと現場の雰囲気が悪くなるわ。なによりもシロ様チーム全体の責任になる。どうにかしなければ!」 「仕方ないだろう。シロ様は気まぐれだから俺たちの努力ではどうにもならないこともある」  二人は困ったように顔を見合わせた。  察するに、シロ様(この名前を思うのも嫌なのだが)を待っているらしい。  とんだ困った人物みたいだ。気まぐれで仕方ない。芸能界だ、実際そんな風来坊も居ても不思議じゃなかろう。シロだしな。
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