僕のミーをシロと呼ばないで

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 中肉中背の男性が指示をだす。小柄な女性よりも力があるんだろう。 「おい、俺はこっちの方を見にいくからお前は向こうの方を探せ。もし見かけたら携帯で直ぐに知らせろ。俺も直ぐに携帯を鳴らすから直ぐに駆けつけるんだ。シロ様は、お前の言うことしか聞かないからな」 「分かった」 「それにしてもどうやって、シロ様の懐に入り込んだんだ。 お前も隅に置けないなー。」  男性はちゃかすように言った。女性は男を軽く睨みつけた。 「やめてよそんな言い方。誰かが聞いたらへんに誤解しちゃう」  うん、もう誤解してるけどな。ちらりとその女性を覗いた。いたって普通の小柄の女性でこれといってパッともしない。滝本ユリエを見た後だから余計にそう感じたのかもしれない。気になる特徴と言えば、鼻に掛かるように発する声が少し色っぽいかなというぐらいだ。  ま、人の好みなんて千差万別。シロ様は地味な顔がお好みなんだろう。僕も好みではあるが、そんなことはどうでもいいんだ。  女性は、僕があーだこうだと思っているうちに、あっという間に公園の向こう側に走って行った。
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