のら猫とペットボトルの君

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 書斎には大きなディスプレイが設置されており、その周りに無数のパソコンが並べられていた。 「パパさんは今、夜食の買い出しに行っているから大丈夫にゃふん。さて、この間撮影された動画を観てみようにゃふん」  マーロウがリモコンを前足で踏むと、ディスプレイはパッと明るくなり、画面に屋敷敷地を俯瞰から眺めた映像が映し出された。 「まず塀の上に並べられたペットボトル、ここが攻略ポイントの第一関門にゃふん」 「これって、ネコ撃退の何か意味あるみゃ?」クロが問いかけた。 「いや、にゃい。ただ『ここは立ち入り禁止だ』というネコへの意志表示のために設置されていると思われるにゃ」 「これはネコキックで落とせばいいだけかにゃ?」 「ところがここで問題があるにゃ! ここを見てほしいにゃふん」  画面を拡大すると、赤く灯るポイントが表示された。そこをさらに拡大するとネコの形をしたロボットが表示された。 「これはにゃんだゴロ!」興奮したチョロが画面をキキーと爪で引っ掻いた。 「や、やめるにゃふん! 私がやったと思われる。これはにゃあ、ネコよけセンサーという恐ろしいもので、あの目からネコの嫌う超音波は発振する。ペットボトルが倒されると、それに反応して起動するようになっているにゃふん」 「そうなると、塀から侵入するのは難しいみゃ?」 「そうにゃ……そして第二関門、屋敷の回りにはくさびの打たれた猫よけシートが敷き詰めてあるにゃふん」 「これではペットボトルの君に近づくことができないにゃあ」  チビタは香箱座りで耳を垂らすと、しょぼんと顔を伏せた。 「ここでひとつだけ抜け道があるにゃふん。それはクロ、君にかかっているにゃ……」 「僕に?」
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