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 遠く東の山に朝日が昇るころ、その鳥はうす暗いコンビニの駐車場にやって来る。 「チュンチュン…チュチュン…」 羽は茶色くうす汚れていて、最初スズメだと思っていたがよく見ると、セキレイ独特の尾羽が「ピコンピコン」と上下している。名前はわからないが、どうもセキレイの一種らしい。  私はこの時間に仕事のため家を出て、朝食のパンを買いにこのコンビニに寄るのが日課だった。 運転席でパンを食べていると、遠い東の山から朝日が昇っていく。いつの頃からか運転席のドアの下で、 「チュンチュン…」 と言う声がしていることに気づいた。最初は近くでスズメが鳴いていると思っていたけど、声が近いしよく見ると茶色っぽい鳥がドアの下付近をチョロチョロしている。  (お腹が空いてるのかな?)と思ってパンのひとカケラを放り投げると、始めは警戒している様子で近寄らなかったと思ったら、空腹に負けたのか駆け寄りついばみだした。私はそのうち、この鳥を「ちゅんちゅん丸」と呼ぶようになった。
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