さよならちゅんちゅん丸

カバーなど

　このネーミングはあるアニメの主人公の刀の名前からとったものだ。もちろん、誰にも話すことなどないと思って付けたのだが…。

　そうやって毎朝私とちゅんちゅん丸は朝食を共にし、私は一日の元気をもらって仕事に行くのが常となっていた。

　見ているとちゅんちゅん丸は、他のドライバーにも同じように物をねだっているようで、駐車場の中をチョロチョロ歩き回っていたが、人や車に慣れているせいか、動いている車の下を走り抜けたり、時には動いているタイヤすれすれを歩くこともあり、見ていて冷や汗が出ることもあった。

　ある日私は車の窓を開けてパンを食べていると、ちゅんちゅん丸が寄って来たのでパンをちぎって手を伸ばしたが、どうしてもあと30ｃｍから近くには来ないので、それ以降は「餌付け」をしようと毎朝窓を開けるか外でパンを食べることにし、2か月も経ったある時、ちゅんちゅん丸はやっと私の手の中からパンを食べるようになってくれた。

　梅雨に入り雨が続くと、ちゅんちゅん丸の姿が見えなくなる。そんな時はコンビニの軒下の雨に濡れない場所に、大きめのパンを置いてやることにした。

　梅雨が明けると、ちゅんちゅん丸は何事もなかったかのように戻ってきて、そして私の手からパンをついばんだ。