告白

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 今日は小学校の卒業式だ。  式が終わった後僕は勇気を出して清水に告白するつもりだ。この日のために計画を練り準備もしてきた。  清水とは5、6年の2年間同じクラスだったが、当初から彼女の容姿に惹かれていた。はっきりとした目鼻立ち、艶のある長い髪。僕の好みだった。それから徐々に彼女の性格にも惹かれていった。毎日彼女を目で追っていた。  清水は勉強も運動もできてクラスのリーダー的存在。ただ唯一虫が苦手だった。虫が出ると泣きながら僕を頼ってくれた。僕が虫を退治すると清水は決まって涙目で笑顔を見せてくれるのだった。  この2年間、僕はそんな清水の全てを見てきたと言っても過言ではない。  ただ、清水はどうだろう。僕のことを全く気にも留めていない様子だ。きっとこのクラスの優斗のことが好きなのだろう。でもそんなこと構ってはいられない。自分の気持ちを打ち明けるんだ。  そして今日、僕は勇気を出して清水に告白する。  卒業式が終わり、卒業生は皆教室に帰る。  クラスの中には、笑顔の者もいれば泣いている者もいる。清水も泣いていた。彼女の涙は何の涙だろう。僕との別れを惜しんでの涙だとしたら僕にとって喜ばしいことだ。  クラスの皆を着席させ、僕は教壇から皆に語りかける。 「皆、卒業おめでとう。先生はお前たちの卒業が悲しくも嬉しい。中学校に進学したら、俺の教えたことは忘れても俺の顔は忘れるなよ。なんてな」ジョークを言って自分を落ち着かせる。  そして僕は、後ろの席に座っている清水に目を留めた。教壇を下り机と机の間を歩いて、泣いている清水の前で跪いて言った。 「清水、真剣に聞いて欲しいんだ。先生は清水が好きだ。清水、付き合ってくれ。先生は本気だ。清水が教室にいた毛虫を怖がって僕がその虫を捕まえて外に放り投げたとき、先生大好きっていつも言ってくれたよな。先生も清水のことが大好きだ。いや、愛してる」 そう言って僕は清水のイニシャル『M(美優)・S(清水)』と刻印が入った指輪を彼女に渡した。  教室はしんと静まり返った。
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