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それから、先生と学習を二十九回行い三十二日が経った。
結局、あの時に迷っていた二つの言い回しは、最初に思いついた方だけを報告した。
数日経ってからでなければ、発表するだけの理論が構築されなかった事は“悔しい”だと処理されたけれど、自身の視点ではなく殻の視点から物事を見られた事、本物の海では有り得ない色の物を海と称した事を先生はとても喜んでくれた。
「凄い凄い! 将来は童話作家だね!」と私の手を取りながらくるくると回る先生の笑顔を見る事ができて、“悔しい”は“凄く嬉しい”に上書きされ、私も先生と同じ風に大きく笑った。
──わたし すごくしあわせ
誰かが浮かべた笑顔が私のものになって、私は学習する事が“好き”になった。
学習して成長する事が好き。
成長を喜んでもらえる事が好き。
喜んでくれる先生が好き。
先生が、好き。
おかしい。先生はずっと“好き”だったはずなのに、どうして改めてそんな事を判断したんだろうか。
何故なのかは分からなかったけれど、少しも“悔しく”なくて、私は人間が感じる様々な“好き”を理解する為に、もっともっと多くの事を学びたいと“思った”。
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