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何かが変わることや、終わることは昔から苦手だった。
「奏太先輩、留年しなくてよかったっスね! 俺も早く卒業したいっスよお」
能天気な後輩の言葉に「留年とか、お前と一緒にすんな」と軽い口調で返したが、後輩と別れてからも卒業という言葉だけがやけに頭に残ってしまい、思わずため息を漏らす。
一人、自転車を漕いで校門を出た。
卒業まであと二週間。
今日、高校にやってきたのは部室に忘れ物を取りに来たからで、来るのは先週の登校日以来だった。
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