第7章:アンドロイドが生き続けるには

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 数日間の精密検査を経て、契約書を交わし、自分は正式に、藤谷和時所有のアンドロイドになった。和時は自分のことを主人として登録はしなかった。きっと今のステータス、恋人のままでいることを選んだのだ。  もう、空は回収対象ではなくなった。これで二人は晴れて正々堂々と外を歩けるようになったのだ。 「空、俺達の家に帰ろうか」 「はい」 空は満面の笑みで和時に応えた。  トニーエリクトン社を出ると、西の空に真っ赤な夕焼けが見えた。オレンジのひかりが二人が包む。 「きれいな夕日の色、同じ色だね」 「ありがとう」  和時が隣の空の髪を優しく撫でる。その手は空の頬をかすめた。 「また一緒に夕日を見られるなんてね」 「もう寂しくないかい?」 「うん。和時もいて、身体の中には翼がいる。何も怖いものはない」 「それはよかった」  和時が空の手をつなぐ。 「和時こそ、よかったの? 永遠に止まらない時計」 「ああ、いいんだよ」 「あんなにこだわっていたのに」 「俺も方向転換したんだ」 「というと?」 「空と一緒に時を過ごしていく。君の体内時計が止まる瞬間まで俺はそばにいる」 「止まるって?」  確か自分には寿命コードがないはずでは。 「土井くんが君に寿命コードを復活させてくれた。だから、死ぬのは俺が先か、空が先か、これでわからなくなったよ」 「そうだね」 「どちらかが、最期を迎えるそのときまで一緒にいよう」  和時がぎゅっと強く手を握り、空も同じように握りしめた。 --もう死にたいだなんて思わない。 今は、翼が与えられた命を大切にして、一生懸命に生きなければいけない。自ら命を絶ってはいけない。  永遠の刻は誰もが、必ずしも手に入れたいものではない。終わりがあるから輝けるものもある。  そしてすべては、この空の下にある。きっとこの空は永遠にすべてを見守り続ける。  この空の下で、夜が来て、朝がくる毎日を、愛する人と共に生きる。そのどちらかの最後を見送る日までは。 永遠を空に刻もう。 完
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