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始業式の翌日、護は息を切らして走りながら校門に滑り込む。
始業時刻にはまだまだ余裕があるが、朝部活が始まるまであと1分。
慌てて昇降口に駆け込むと、護のクラスの下駄箱の前で松葉杖を突いた少女に出会った。
ぅわっ! 小さっ!
この子、同じクラス?
同じ中学2年生だと思われるその少女は、どう見ても145㎝前後しかない。
ここにいるんだから、自分と同じクラスだとは思うけど、護は、昨日は松葉杖の子なんてみた記憶がない。
「えっと、3組の子?」
護が尋ねると、少女はにこりと微笑み、そのままこくりとうなずいた。
かわいい……
色白で髪を二つに結んだ彼女は、セーラー服を短すぎないスカートできちんと着ている。
「俺、護。君は?」
護が名乗ると、少女も答える。
「すみれ」
野に咲く可憐な花は、彼女のイメージにぴったりな気がした。
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