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次の日の朝、クロが目覚めると、モモはうろから出て、木の根元に生えている草や苔を食べていた。
クロは、モモを驚かせないように、寝たふりをしたまま、その姿を眺めていた。
朝露に濡れた草原で、モモの真っ白な毛並みが朝日に輝いて見えた。
しばらくして、お腹がいっぱいになったのか、モモが顔を上げたので、こっそり眺めていたクロと目が合った。
びくっと体を震わせ、驚いたように固まってクロを見ているモモ。
モモはまだぼくを怖がっている。
仕方のないことだけど、クロはそれが悲しかった。
ぼくはモモともっと仲良くなりたいのに。
クロは、気を取り直して、クロが出せる1番優しい声で言った。
「おはよう、モモ」
モモは少しほっとしたように、
「おはよう、クロ」
と言ってくれた。
それからクロたちは、一緒に遊んだ。
たくさん走り回って、追いかけっこもした。
けれど、それは、あくまで遊び。
食べるためじゃない。
だから、クロが追いかけることもあったし、クロが追いかけられることもあった。
そうして、2人が疲れ果てた時、2人は仲良く寄り添いあって眠った。
それから、2人はずっと一緒だった。
何日かして、鷹がモモを狙って空から急降下してきた。
クロは必死で身を挺してモモを護った。
背中の毛を逆立て、シャーッと威嚇する声を上げると、爪を立てて鷹に飛びかかった。
鷹は、慌てて舞い上がったものの、またすぐに急降下してくる。
「モモ、逃げて!」
モモは駆け出し、あの木のうろに隠れた。
鷹は、今度は狙いをクロに変えた。
クロは、爪を立てて木に駆け上がると、急降下してきた鷹の背に爪を立てて飛びかかった。
鷹は、ンギャーッと絶叫にも近い悲鳴を上げると、そのまま飛び去って行った。
またある時は、蛇がモモを狙って近づいてきた。
クロはまた果敢に蛇と戦った。
そうして、クロは、ずっとモモを護り続けた。
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