8人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、ぼくの手は動かない。周りに履いている白ブリーフを晒したくないと言う羞恥心がそうさせるのだろう。
「先、行っててよ。後で行くから」
「いいよ、待ってるよ。着替えなんてすぐ終わるだろ?」
待っててくれるのはありがたいが、今はありがたくない。ここで無理矢理先に行くことを促すのも変である故にぼくはそれ以上の言葉を持たなかった。
ぼくは上着を脱いで体操服の上着を纏った。しかし、ズボンに手をかけるもなかなか脱ぐことが出来ない。
友人は流石にぼくの異変に気がついた。
「どうした? もしかしてパンツ履き忘れた?」
「いや、別にそんなんじゃないけど」
「なら早く下も着替えろよ。早く行かないと先生に怒られるぜ?」
「う、うん……」
ぼくは意を決してズボンを下ろした。ぼくの白ブリーフは体にフィットするような薄手の綿素材のセミビキニタイプ。ぶら下がったタマタマの膨らみがはっきり露見している、しかも今日はトイレに行った際に友人に呼ばれて慌ててチンポコを収めたせいか上向きに収納されていた。ブリーフの上からでもタマタマとチンポコの形がハッキリと浮かび上がっているのである。それを見た友人はぼくのブリーフを指差してケラケラと笑い出し、クラス中に聞こえるぐらいの大声で叫びだした。
「うわーっ! こいつ今どき白ブリーフだぜーっ! ダッセー!」
友人のその声に導かれてクラスメイトがぼくの前に集まり、白ブリーフを注視する。正直、チンポコを注視されているようで恥ずかしい。クラスメイトはクスクスと笑いを浮かべていた。そして次々にぼくのことを侮辱しだした。
「おむつみたい」
「低学年の子しか履かねぇぞ?」
「うわっ、懐かしい。幼稚園の頃以来だぞ?」
「ダッセー」
「もっこり具合がハッキリ見えてるよ。あれならフルチンの方がまだマシだぜ」
「親が買ってきたら即買い直させるね」
「チンポコの前とかションベンのシミで黄色くなってそう」
「ケツにウンスジとかついてんじゃね?」
ぼくはこの人生で最大の嘲笑を受け、顔を真っ赤にし泣き出したいのを我慢しながらクォーターパンツを履くのであった。そのまま体育の授業に参加せずに学校から逃げ出したくて逃げ出したくて堪らなくて仕方なかった。偏に着替えの時の恥辱と悔しさからくるものである。
最初のコメントを投稿しよう!