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そして迎えた卒業式、連日の軍隊の訓練の如き厳しい練習の通り厳粛に式が進んでいく。正直な話、小学校を卒業する嬉しさよりも厳しい練習の日々から開放される方が嬉しさは大きい。
卒業式が終わった後、ぼく達卒業生は卒業式の行われた体育館前にて皆で写真を撮ったり、先生方と別れの挨拶を交わしていた。
ぼくと友人はそんな喧騒から一旦中座し、トイレにて用を足していた。小便器にて二人並んで用を足していると、友人が横からチンポコを覗き込んできた。毛が生えた生えないだの、皮が剥けた剥けないだののチェックと称して覗き込んでくるのだ。もういつものことなので、ぼくとしては何も思うことはない。ただ、今回の友人は別のことに気が付き驚くのであった。
「おい、ブリーフじゃないぞ?」
「ああ、もう中学生だからって親がトランクス買ってくれた」
「そっかぁ、ブリーフ卒業しちゃったか」
「遅いぐらいだよ」
「ま、ブリーフ卒業おめでと」
友人はぼくの肩を軽く叩いた。手も洗ってないのに卸したての制服に触るんじゃねぇよ。
中学校に進学したが、小学校の時とメンツは変わらない。隣町の小学校のメンツと統合して合流しただけであまり新鮮味はない。入学式から始まり、始業式からの隣町の小学校の奴らとの初顔合わせ、オリエンテーション、身体測定…… 忙しなく春の嵐のように4月の月日が流れていく。流れとしてはぼくが都会に転校してきた時とほぼ同じである。
通常授業が始まりやっと日常が戻ってきた。そして中学校に入って初めて体育の授業を迎えた。ぼくは教室で体操服に着替えようとした。以前は周りが皆トランクスやボクサーブリーフであることに気が付き、手を止めたのだが、今回はぼくもその仲間に入ってることもあり平然とズボンを脱ぎ、トランクスを皆の前に晒す。だが、ぼくは違和感に気がついた。今度のクラスは42人で男女は半々、今は男子21人が着替えていることになる。この21人、大半がトランクスやボクサーブリーフを履いているのだが、若干名、本当に少ないが5名から6名ぐらいだろう。履いているのが白ブリーフなのである。ぼくは彼らが着替えの際に周りのパンツを観てじきに白ブリーフを卒業するかと思われたが、なかなか白ブリーフを卒業することはない。それを観察するぼくもどうかとは思うが、ぼくは堂々と白ブリーフを晒して着替えるその姿に男らしさすら感じてしまうのであった。
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