吾輩は『ドンバリ・ガゼボブンベベボブン・ルンバリアンエレガンス・ミボボボブボバボンボリアン・ピンピャラピャンピャラピャッピャ・ヅォヅォミャエ・ドドリアン』である。

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吾輩が『ドンバリ・ガゼボブンベベボブン・ルンバリアンエレガンス・ミボボボブボバボンボリアン・ピンピャラピャンピャラピャッピャ・ヅォヅォミャエ・ドドリアン』となって10年も経てば、おばあちゃんはベッドから起き上がることも出来なくなってしまった。 それでもおばあちゃんは、すっかりしわがれた声で吾輩を呼び寄せる。途中で咳き込んでも、絶対に最後まで名前を言うんだ。 「ドンバリ・ガゼボブンベベボブン・ルンバリアンエレガンス・ミボボボブボバボンボリアン・ピンピャラピャンピャラピャッピャ・ヅォヅォミャエ・ドドリアン」と。 無理するな。呼ばなくても吾輩はずっと傍にいるぞ。ひと時も離れてやるもんか。 吾輩だけじゃない、お前の孫も、お父さんもお母さんもいるぞ。だからまだ逝ったらダメだ。逝ったらみんな悲しむ。お願いだ、この世から離れてはダメだ。 吾輩の願いも虚しく、おばあちゃんの身体はどんどん弱っていく。呼吸も難しくなっていって、とうとう吾輩の名も呼べなくなってしまった。 そして、とうとうその時が来た。寒い日の深夜だった。わざわざ家まで来ておばあちゃんの身体を診たお医者さんが、『言い残したことがあれば今のうちに』と告げた。 子供たちもお父さんもお母さんも、ありったけの感謝を叫んだ。吾輩も。出せるだけの声は出した。きっと聞こえてると信じて。 そうしたら最期の最期、奇跡が起きたんだ。おばあちゃんの口が微かに動いて、言葉を紡いでたんだ。 「ドンバリ・ガゼボブンベベボブン・ルンバリアンエレガンス・ミボボボブボバボンボリアン・ピンピャラピャンピャラピャッピャ・ヅォヅォミャエ・ドドリアン」 「ドンバリ・ガゼボブンベベボブン・ルンバリアンエレガンス・ミボボボブボバボンボリアン・ピンピャラピャンピャラピャッピャ・ヅォヅォミャエ・ドドリアン」 「ドンバリ・ガゼボブンベベボブン・ルンーー」 吾輩の名前を2回も。力を振り絞って呼んだ後、おばあちゃんは逝った。 短い名前にしてくれれば、もっとたくさん呼べたんだぞ。 もっとたくさん呼んでほしかったよ。 おばあちゃんのバカ。バカ。大バカ。
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