27人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、御朱印をいただきに行こうか。御朱印帳は持ってきてる?」
「うん。でも、待って。先に寄りたい場所があった」
「なになに? 今日は瑞貴のプランに乗っかるよ」
言ったね?
今さらやっぱりなしなんて言わせないよ。
「そしたら、とりあえず移動しよう」
「こっちの電車でいい?」
「ううん、ここでいいよ。わ、すごく楽しみになってきた」
電車には乗らず、駅から出ることにした。
ここは五月に散歩した駅で、特に遊べる場所はないけど、通い慣れた街だ。
「どこに行くの? この辺に神社なんかあったっけ?」
「それは着いてのお楽しみ」
今までずっとされてきた対応をやり返すことができた。
航は特に気にした様子でもなく笑っていたけど、どこに行こうとしているのかわかったときの反応が楽しみだ。
駅を出て数分歩いて、目的地に到着。
航はここが目的地と気付かなかったのか、目立った反応はなかった。
「……え、ここ?」
「うん。私が決めていいんでしょ?」
「そうだけど、これじゃ今までの振り返りにはならなくない?」
「いいじゃん、別に。それに、ここはそんなに時間かからないから、終わったらお昼食べて、それから神社に行こうよ」
「こういうの苦手なんだって……」
「私が教えてあげるから心配ないって。ほら、行くよ」
入り口の前で駄々をこねる航の腕を引っ張って、自動ドアをくぐる。
店内は一組のお客さんがいるだけで、すぐに受付してもらうことができた。
最初のコメントを投稿しよう!