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「でもさ、いざ話を聞いたらとんでもない男かもしれないよ?」
「なにそれ、どういうこと?」
「ほら、無職で毎日ぐうたらしてるとか、借金まみれで瑞貴を当てにしてるとか、実は悪の組織の一員とか」
そんなこと言わないでよ。
どれもないと思うけど、もしそうだったとしてもどうしようもないじゃない。
「……それはないか。悪いことできなさそうっていうか、むしろ詐欺に遭う側か」
ずいぶんな言い方だなぁ。
最初のうちはそういうことを全く考えなかったわけでもないけど、途中からはまったく気にならなかった。
「それで、次はいつ会うの? もしかして今夜?」
「いや、次も一ヶ月後」
「うそ、そんなんでいいの?」
「なんでだろう、自然な流れでそうなった」
「余裕だねぇ」
夕映は目を細めてそう言って、しばらく黙り込んだ。
付き合い始めたのに積極的に会おうとしないのは、余裕があるからってことでいいのかな。
航もなにも言わなかったし、変じゃないよね?
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