幕間(11)

2/3
前へ
/156ページ
次へ
「でもさ、いざ話を聞いたらとんでもない男かもしれないよ?」 「なにそれ、どういうこと?」 「ほら、無職で毎日ぐうたらしてるとか、借金まみれで瑞貴を当てにしてるとか、実は悪の組織の一員とか」  そんなこと言わないでよ。  どれもないと思うけど、もしそうだったとしてもどうしようもないじゃない。 「……それはないか。悪いことできなさそうっていうか、むしろ詐欺に遭う側か」  ずいぶんな言い方だなぁ。  最初のうちはそういうことを全く考えなかったわけでもないけど、途中からはまったく気にならなかった。 「それで、次はいつ会うの? もしかして今夜?」 「いや、次も一ヶ月後」 「うそ、そんなんでいいの?」 「なんでだろう、自然な流れでそうなった」 「余裕だねぇ」  夕映は目を細めてそう言って、しばらく黙り込んだ。  付き合い始めたのに積極的に会おうとしないのは、余裕があるからってことでいいのかな。  航もなにも言わなかったし、変じゃないよね?
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加