3月・新たな始まり

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「一番なんて決められないよ。どれも楽しかったし」 「それじゃダメ。実際ある程度の順位は付けられると思うけど。きっと競馬が上位に入ることはないだろうし」  そう言われてしまえば反論できない。  でも、航のプランを採点するみたいで気が引ける。この気持ちは伝わらないのだろうか。 「僕のことは気にしなくていいから、瑞貴なりのジャッジをしてよ」  気持ちは伝わっていたらしい。  伝わったとしても受け入れてくれるとは限らない。これは今後も気をつけなくちゃ。 「待って、考えるから。えっと、野球と競馬はとりあえず外していいんだね?」 「探せば見つかるかもしれないけど、とりあえず今日はなしで」  野球と競馬を除いたら九パターン、最初は読書とか散歩だけだったから、それも除いていいよね。  星空とかイルミネーションもないだろうし、意外と選択肢は少ないかも。 「やっぱり、御朱印かな?」 「だろうと思った。あのときが一番、趣味としての反応よかったもんね」 「でもさ、大半がその時期限定っていうか、いつでも楽しめるものじゃなくない? ドライブもショッピングもいいけど、それじゃ具体的な行き先が決められないし」  せめて前日から言っておいてくれれば、もっとちゃんと考えられたのに。  神社だって、そこにいる神様とかもらえる御朱印の情報は調べたいよ。  ――あ、そうだ。  行きたい場所ならあるじゃないか。
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