3月・新たな始まり

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「じゃあ、御朱印をいただきに行こうか。御朱印帳は持ってきてる?」 「うん。でも、待って。先に寄りたい場所があった」 「なになに? 今日は瑞貴のプランに乗っかるよ」  言ったね?  今さらやっぱりなしなんて言わせないよ。 「そしたら、とりあえず移動しよう」 「こっちの電車でいい?」 「ううん、ここでいいよ。わ、すごく楽しみになってきた」  電車には乗らず、駅から出ることにした。  ここは五月に散歩した駅で、特に遊べる場所はないけど、通い慣れた街だ。 「どこに行くの? この辺に神社なんかあったっけ?」 「それは着いてのお楽しみ」  今までずっとされてきた対応をやり返すことができた。  航は特に気にした様子でもなく笑っていたけど、どこに行こうとしているのかわかったときの反応が楽しみだ。  駅を出て数分歩いて、目的地に到着。  航はここが目的地と気付かなかったのか、目立った反応はなかった。 「……え、ここ?」 「うん。私が決めていいんでしょ?」 「そうだけど、これじゃ今までの振り返りにはならなくない?」 「いいじゃん、別に。それに、ここはそんなに時間かからないから、終わったらお昼食べて、それから神社に行こうよ」 「こういうの苦手なんだって……」 「私が教えてあげるから心配ないって。ほら、行くよ」  入り口の前で駄々をこねる航の腕を引っ張って、自動ドアをくぐる。  店内は一組のお客さんがいるだけで、すぐに受付してもらうことができた。
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