3月・新たな始まり

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「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか」 「新規契約のお願いができればと思いまして。この人のスマホが欲しいんです」  二人がやってきたのは、様々なキャリアの取り扱いをしているケータイショップだ。  当然これまでこういうお店に来たことはない。 「お兄さんのほうですか?」 「はい。この人未だにガラケーなんですよ」 「そうなんですか。それなら、今はちょうどご新規さん向けに大きな割引キャンペーンを実施していますので、どうぞおかけください」  対応してくれた店員さんは航と同い年くらいの男の人で、人懐っこい笑顔で接客をしてくれた。  スマホの知識が皆無の航は、お兄さんの説明を一生懸命聞いていて、その姿が見ていておかしかった。  最終的にはほとんど言われるがまま、一番安いプランで契約することになり、機種は瑞貴と同じメーカーのものを選ばせた。  スマホ本体の料金は分割で月々の使用料と一緒に払う形になり、この場では一円も払うことなく新品のスマホを手に入れることができた。  約一時間の買い物を終えて、外に出る。
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