10月・未知との遭遇

3/36
前へ
/156ページ
次へ
「今日のテーマはギャンブルです!」 「ギャ、ギャンブル?」  周囲に人がたくさんいるから目立つことはなかったけど、航が両手を広げてややオーバー気味にそう言うものだから、思わずリアクションも大きくなってしまった。 「いや、やっぱり趣味を模索するうえで外せないっていうか、それらを趣味にしている人ってきっとたくさんいると思うんだよね」 「えー……」 「そんな顔しないでよ。あくまでも試しにやってみるってだけだから」  やりもしないでって言われるとは思ったけど、ギャンブルと聞いてすんなり受け入れることはできなかった。  航はどういう反応を期待していたんだろう。 「ちなみに、さっき言ってた三つはなんなの? 私、ギャンブルなんてやったことないよ」 「パチンコと、競馬と、宝くじ」 「宝くじ? え、どういうこと?」 「スクラッチってわかる? その場で買って、その場で削って、すぐに結果がわかる」 「それならわかるけど、そんなのすぐに終わっちゃうんじゃないの?」 「そうかもしれないけど、一枚ずつワクワクドキドキしながら削れば楽しめると思うんだよね。テレビでもやってたし」  年末の特番か何かで宝くじをたくさん買って盛り上がっているのを見たことはある。  あれだけの枚数があれば楽しそうだとは思ったけど、そんな財源はここにはない。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加